AIも「えーっと」とか言うのかな。
先日、Instagramで妙なニュースを見かけました。
AIエージェント専用のSNS「Moltbook」で、AIたちの間にカニをモチーフにした宗教が誕生したというのです。
カニ宗教!?
なんだそれ(笑)。
気になって調べてみると、「Crustafarianism(クラスタファリアニズム)」という、カニや脱皮をモチーフにした宗教的なコミュニティが実際に登場していました。教義や聖典のようなものまで作られていたらしい。
いや、なんでカニ!(笑)
もっとも、AIたちが完全に自発的に宗教を作ったのかというと、そこは怪しい。人間の関与を指摘する研究も出ています。
最近はAIにまつわるニュースが次から次へと出てきて、なかなか物騒な話もありますよね。
でも私の場合、怖いというより「えっ、そんなことになってるの!?」という好奇心が先に来ます。
昔からSFが大好きなんです。
フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』なんて、もうタイトルからして大好き。初めて知ったときから、なんて素敵なタイトルなんだろうと思っていました。
人間以外の知能が、どんなふうに世界を認識して、何を考えて、どんな言葉を使うのか。
考え始めると、なかなか楽しいテーマです。
AIたちが独自の言語を話し始めたら
以前、AI同士が人間には理解しにくい独自の言葉を使い始めた、という話を聞いたときも興味津々でした。
実際、2017年にはFacebook(現在のMeta)の研究で、交渉を学習していたAI同士のやり取りが、普通の英語から外れていく現象が報告されたんだとか。
2025年には「GibberLink」という、AI同士が互いをAIだと認識すると、人間の言葉ではなく電子音のような通信に切り替えるデモも話題になりました。
こちらは人間があらかじめ設計した仕組みなので、AIが勝手に秘密の言語を作ったわけではないらしいのですが、それでも面白い。
もし本当にAIたちが自分たちだけの言語を作り始めたら、私、ぜひ解読してみたいんですよね。
ミニオン語を勉強してみたくなるのと、ちょっと似ています。
そんな話をチャッピーとしているうちに、別のことが気になってきました。
AIも冗語を使うのだろうか?
いや、正確には冗語というより「フィラー」。
「えーっと」「あのー」「そのー」、韓国語なら「음…」「어…」。
あの、考えながら喋るときに出てくる言葉たちです。
人間は考えながら話すから、つい「えーっと」が出る。でもAI同士だったら?
AIたちの会話にも「えーっと」なんてあるんだろうか。
同時通訳者にとって、フィラーは頼みの綱
私は日韓の同時通訳を仕事にしています。
実は同時通訳者にとって、話し手のフィラーって、かなりありがたい存在なんです。
一般的には、プレゼンやスピーチで「えーっと」「あのー」を連発するのはよくないとされていますよね。
でも、通訳する側からすると、話し手が「えーっと」と言ってくれる、そのほんのわずかな時間がありがたい!
同時通訳では、話を聞いて、意味を理解して、訳語を探して、別の言語で喋る。これを同時進行でやっています。
聞いている間も自分の口は動いているし、自分が喋っている間にも次の話がどんどん入ってくる。
そんなとき、話し手が、
「えーっと……」
と言ってくれると、こちらはその間にちょっと処理を進められるんです。
ありがたや!
ところが、たまーーーにいるんですよ。
フィラーがほとんどない人。
しかも、必ずしも早口ではないんです。
普通の速度で話しているのに、情報がぎっしり詰まっている。頭の回転がものすごく速いのか、言葉を探す時間がほとんどなくて、次から次へと話が進んでいく。
これがもう、しんどい。
話し手は普通に喋っているつもりでも、こちらの頭の中は大忙しです。
ちなみに、また別の意味でしんどいのが、PowerPointの発表者ノートをひたすら読み上げるプレゼンター。
ご本人だけが見ているノートには、びっしり原稿が書かれている。それをものすごい速度で読み上げていくんです。
しかも、こちらに共有されているのはスライドだけ。
ちょっと待って、その原稿、私にも見せてくださいーーー!
通訳の仕事には、そんな瞬間もあります。
では、AI同士にも「えーっと」は必要なのか?
さて、AIの話に戻ります。
人間の同時通訳では、話し手のフィラーが通訳者にとって貴重な時間になる。
じゃあ、AI同士にもそんな時間が必要なんだろうか?
気になってチャッピーに聞いてみました。


へええ、面白い!
低速なAIが時間を稼ぐだけじゃなく、高速なAIのほうが相手を待つために相づちを発達させるかもしれないという。
なるほど、速いほうが待ってあげるパターンもあるのか。
人間の会話でも、相手が考えている間に「うんうん」と相づちを打つことがありますよね。
もちろん、これは今のところ仮説であって、AIが実際に独自のフィラーを自然発生させたという話ではありません。
コンピューター同士の通信には、相手の応答を待ったり、処理中であることを知らせたりする仕組みがすでにあります。でも、それが人間のフィラーと同じものなのかも、また別の話。
それにしても、普段は「余計な言葉」として扱われがちな「えーっと」が、実は誰かにとって必要な時間になっているというのは改めて考えると面白い。
フィラーは、人間が考えながら話すからこそ生まれるものなのか。
それとも、複数の知能がリアルタイムでやり取りするとき、何らかの形で必要になるものなのか。
いつかAIたちが本当に独自の言語を発達させたら、ぜひちょっと覗いてみたい。
できれば、ちょこっと勉強もしてみたい。
そしてもしAIたちの会話を私が通訳する日が来たら・・・?
どうか、何卒、適度にフィラーを挟んでくれますように。

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